空 ( くう )

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 ■ アラン・レオの西洋占星術 どんなことが、どう違っているのか。

◆ 空(くう)と心理占星学。

人の気持ちというのは変わります。

 例えば太陽牡羊の性格として「積極性」と書かれているものがあります。しかし、ここへ「衝動性」と書いても当たります。「保守性」を持っているとしても当たります。「理知的」としても、「実務的」と書いても当たります。ここへ「内面の心理的葛藤」という性格の一表現と思い込まれているものを持ち出しても、たぶん当たります。何故でしょうか? 人は全ての要素を持っているからです。相手の気持ちが分かるというのは、自分にもその気持ちを理解する能力があるからです。もっと端的に言えば、同じ気持ちを持っているからです。次の「空」についての説明を読んでもらえればそれは氷解すると思います。

 東洋思想では人々の心は実体が無いと考えます。空です。ここにAさんがいます。回りに友人やちょっとだけの知り合いや取引関係の人たちが、100人居たとしましょう。この100人の人々にとってAさんはそれぞれ違った印象になります。いい人、憎らしい人、好感の持てる人、優しい人、うるさい人、欲深い人、頼もしい人、明るい人、悪いやつ、… つまり100の違った人が居るかのように写るはずです。Aさんという、もともとの客観的な人という実は無いということがわかります。実体がない、空である。と言い得ると考えられます。

 つまり、モダンな占星術で捉えることができる「性格」というのは、もともとこのようなものです。自分探しのツールとして使われてきていて、機能するように見えてそれは見えているだけです。あくまでも、擬似的なものです。性格的なものは、何を言っても当たるというのはここからきます。実体のないものに対して当てはめるわけですから何でもOKです。

 惑星がどこに有ろうと無かろうと

  • 人生は山あり谷ありです。
  • 人間関係で右往左往するのも、誰しも同じです。
  • 優柔不断と臨機応変は、時として同一人物に内在します。
  • 運命的な出会いの繰り返しです。
  • 包容力のある相手を求めるのも、人としての常です。
  • 誰もが、ある点では神経質で、ある疲れた日には回りの事などどうでもよくなります。
  • ある時人生から逃げ出したい気持ちになる。ありがちです。
  • あなたを分かってくれる人は少ない。全ての人がそうです。
  • 内面的なことに興味を持ちます。すばらしい!
  • 最後の言葉は、あなたはセラピストになれば良かった。  

です。

 これら神知学的ともユング的ともとれる言葉の羅列は人を慰める力を持つ以上のことはありません。

 人間というのは多かれ少なかれ、理解できる感情は幾分かは持っています。怒るということが理解できない人は、怒りを持っていません。占星術で、あなたはこういう性格ですね。そう、『理解できる性格は全て私の性格です』。あるいは、過去に経験した、直すことができた『私の性格』だったものです。

 目的はもうお分かりだと思いますが、占星術に対する情熱を占星術に向けていただきたいだけです。アラン・レオが、どのようにも変化していける占星術を体系化し、更に後任の人たちがどう改悪していったかを述べたいと思っています。占星術の技術にそれまでに無かった発明に近いものが、次々に発展と称して付け加えられていきました。本当に発展ならば良かったのです。逆に骨抜きになっていきました。

 どうして骨抜きと言えるのか? このエッセイを通じてこの問いには答えていると思います。アラン・レオが彼なりに西洋占星術を体系化した理由を述べる前に。ちょっと歴史。

  • ※ビクトリア時代。ビクトリア女王(1837-1901)治世の時代
  • ※ルドルフ・シュタイナー(1861-1925) 神智学協会(Theosophical Society)設立。
  • ※アラン・レオ(1860-1917) モダン占星術の父。
  • ※初代神智学協会占星学支部(Astrological Lodge of the Theosophical Society)レオによって1914年に設立された。 [この名前大事です]
  • ※ダーウィンの『種の起源』(1859)

 ■ マイナー・アスペクトの創設

 ビクトリア時代は、これらの風潮が吹き荒れつつあるその先駆けの時代です。この少し前は、ベーコン、デカルト、ニュートン、ケプラーなどの時代でした。

 ニュートンも、ケプラーも占星術を研究しています。ケプラーはマイナーアスペクトの 創始者です。別の項で解説していますが、サイン同士のアスペクトの概念を破壊しました。時代は飛んでいますが、アラン・レオは 神智学協会占星学支部を設立したほどですから、占星学に対する造詣は当然深かった。そして、何とか廃れつつある占星術を世に出したかったのかどうか、今の所私の知識では分かりませんが、いずれ明らかになるでしょう。理由のうちの一つは、レオ自身が被った神智学協会占星学支部会長ゆえの『未来予測の偽証罪』というなんとも訳の分からない罪を免れるために促進されたのです。

 どういう風に改ざんされた占星学を体系化したのか! 神智学の知識が吹き荒れつつある時代です。その神智学の心霊的な表現を占星術にちりばめたのです。そして「性格は運命である」という有名な言葉も世に出ます。協会の名前にも入念に神智学がくっ付いています。どんな会でも、会長の意向に逆らう人はあまりいません。更に付け加えた人がいます。神智学の学問の延長線上に、無意識の精神分析という研究があるらしいのです。それを加えた人がいました。神智学とユング理論と占星術が結びついてしまいました。ルディヤーという人によって最初なされました。ここに性格分析ツールとしての占星術が誕生しました。それをいまやリズ・グリーンが可能な限り著作活動に基づき確固たるものにしています。情報の量の勝負は、ここに勝者を決定しています。

 占星術というのはもともと真実追究の道具です。情報の量の山に埋もれていようと、その中からキラリと光る真実を、感性でもって拾い上げる技と言っても過言ではありません。占星術の中に意味のない言葉の羅列が見付かれば、それに気が付くのが真実追究の姿勢です。先日もとあるMLで「○○星と××星のアスペクトはストレスになる」という会話がなされていました。ちんぷんかんぷん? いったい何のストレス? と聞き返したい衝動に駆られましたが、また喧嘩を売るような事になるので思いとどまりました。それは現代占星術の本に、もっともらしく載っているということだけを付け加えておきます。

 そのような曖昧な表現はどこから来たのかは、先に述べた神智学の中の心霊的用語です。日本で言えば、処世訓です。必ず一面の真理を言い表していますから、当然当たっています。

  • 無欲に徹すれば、安住の地になる。
  • 与えられたものに満足すべきし。
  • 耐えることを支えとして生きよ。
  • 先んずれば、利を得られる。
  • 危ないよ、よそ見おしゃべり二人乗り。

 最後のものは、交通安全標語ですが、このままでは星占いにふさわしいわけはありません。レオはこれらの神知学的な言葉を巧みに作り替えちりばめました。誰にでも当たる西洋占星術の誕生です。さぞ大変だったでしょう。でも、レオはそのことによく気が付きましたね。

 『占星学の文献の研究をするのなら、「天王星発見以前」「天王星発見から小惑星発見」「小惑星発見から海王星発見」「海王星発見から冥王星発見」「冥王星発見からキローン発見」「キローン発見以後」などのように、文献の書かれた時期や研究された時期を分けて、頭の中の整理整頓しないと、大きな間違いをおかしますよ。』 そう、脅されます。意味のない区分です。目をそこにやる以前の問題です。

 一方、占星術には気質という捉え方があります。現代語ではこれは気質という性格的なものに当てはめがちな言葉ですが、もう少し体質的な傾向を強く含む言葉です。占星術ではこちらの方を主に用いてきました。体質が風体質なら、体調を崩すとむくみとか腎臓を悪くしがちですよというふうに使ってきました。

 東洋思想を背景に持つ我々には、西洋の人々に見抜けないものをいと易く見抜くことができます。人には性格は無い、「空だ、実体が無い」。時たま、私の性格として考えられるのは、時たま、自分が認識できる程度に強く出てきているのでしょう。出てきている性格は、いくらも変化します。実体が無いわけですから。

 例えば悪いことは1000も2000もあります。他人の悪いところに気が付く、というのは、自分の中にも同じ悪い点があるからです。客観的に悪いことだと分かっても、日頃気にも留めていないようなことだったらその悪いところも、そんなもんかと捉えるだけで、「何であいつ、あんな悪いことやってんだ」などとは露ほども思いません。同じく、他人の欠点も「何やってんだろう。あほ違うか」と気にも留めない人は思うわけはありません。つまり、相手の欠点に気付くということは、自分もその欠点を持っていて、日頃強く考えている傾向の部分なわけです。

 しかも前述したように捉え方はまちまちです。100人100様。どれが正しいかさえ分かりません。もともと実体はない『空』なのですから。そう考えれば、そうかもしれない・・・という程度です。ですから、66番目の人の捉え方がAさんをして理知的と見るかもしれませんが、72番目の人は人生経験の豊富な人と見るだけかもしれません。18番目の人は、すごい人だと理由もなく思うかもしれません。東洋の思想には自分探しに占星術を用いなくても、良い方法がいっぱいあります。

 ■ アラン・レオの占星術の長所

 しかしながら、レオが体系化した占星術に長点は無いのでしょうか? ここまで発展してきた要素は必ずあるはずです。彼が体系化した占星術は物事が発展する要素を持っています。つまり、なぜ変容してしまったにも関わらず発展したのかという理由です。人々は自分を受け入れてくれるものを良しとします。いい事しか述べない人が居るとすれば、その人は誰からも好感を持たれ、拒否する人はいません。逆に悪いことも述べる、あるいは気に入らないことも告げる人は、大きな愛情を感じるくらい近くにいる人以外は疎ましく思います。これと同じようにモダンな占星術は何も悪いことを告げないという方法で発展してきました。此処には物事を発展させる大事な方法が見て取れるという、その点では貴重なものです。

 マイナーアスペクトを正当化するために知ってか知らずか、レオの後継者達は様々な追加をしています。ユングイズムを付け加え、さらに性格など変化してとらえることなどできないはずなのに、潜在意識理論を可能な限り付け加えました。これらは東洋の哲学の前にもろくも崩れます。

2003年6月3日(火曜日)星占い、ホラリー西洋占星術

 


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